日本経済新聞 経済教室 35面 2009/09/18
恩蔵 直人 教授 (早稲田大学 商学部)
上條 典夫 局長 (電通ソーシャル・プランニング局)
-----
↓本文より:
☆「社会」意識した消費 一段と
≪ポイント≫
○ 消費低迷、消費者の意識・価値観変化映す
○ 「自分探し」的消費は「ソーシャル消費へ」
○ 企業は消費者との新たな関係構築急げ
◎経済危機で行動変容 「質」や「絆」重視、より鮮明に
いま消費トレンドの少なからぬ部分が、「量と個」を志向した個人消費から「質と絆(きずな)」
を重視するソーシャル消費へと変化しつつあるのである。我々がいうソーシャル消費とは、
世界の人びとや次世代への悪影響をできるだけ軽減する消費スタイルであり、フェアトレード
商品の購入や企業の社会的責任(CSR)に熱心な企業の商品やサービスの購入を通じて何らかの
社会貢献をしたいという気持ちを表す消費スタイルであるといえよう。
◆◆◆ ◆◆◆
そうした変化が見られるのは消費者側だけではない。マーケティングを実践する際、社会的
で倫理的な配慮をすることで、消費者だけでなく社会の幸福を向上していこうとする「ソー
シャル(ソサイエタル)マーケティング」や、企業が社会問題の解決といった大義をアピールし、
それに共感してくれる人に対しての売り上げ増を目指す販促手法として80年代から提唱されて
いる「コーズ・リレーテッド・マーケティング」の流れは、環境やエネルギー問題がクローズ
アップされるにしたがってますます確かな潮流となってきている。
マーケティングの権威、フィリップ・コトラー米ノースウエスタン大教授によれば、90年
以前、企業は「何をしたらよい会社に映るのか」という場当たり的な視点から社会貢献に
取組んでいたが、90年以降は、本業に生かすことのできる対象に絞り込み、戦略的、自主的に
社会貢献に取り組むようになったという。
現在、商品やサービスを生産する側の企業が消費者と連携し、貧困や疾病、社会問題や環境
問題を解決することは、企業にとっては新規顧客の獲得、ニッチ市場の開拓、売り上げの
増加、好ましいブランドアイデンティティーの構築など、結果的に自社の商品のプロモー
ションにつながることが証明されつつある。
◆◆◆ ◆◆◆
消費者のあいだで広まりつつあるソーシャルな志向と、企業において強まっている社会貢献
意識をつなぐ新しいマーケティング手法がこれから必要になろう。従来のマーケティングは
基本的に、「企業と顧客としての消費者」いう2者間の関係性を扱っていた。これに対し、
新しいマーケティングは「企業と生活者(消費者)、そして社会」というより広い視点を持つ。
このように新しいマーケティングは、「質」と「絆」を重視する新しい消費トレンドを後
押ししている。経済危機を経て、こうした流れは一段と加速し、消費者との新たな関係の構築
を企業に迫ることにもなるだろう。
-----
ソーシャル消費の時代 2015年のビジネス・パラダイム:上條 典夫 著 2009/04/08 講談社
↑この本も以前から購読中で、今後2回程度ブログで取り上げてみたいと考えている。
【感性価値創造=コトづくり】:
「面白い・やる気になる」という「ヒトのココロ・気持ち」をつなげる
『道具と仕組み』づくり
まだまだ地方の機械部品を生産する下請け型企業では、【ソーシャル消費】との接点はまず
ない状況であるが、この視点【本業=社会貢献・社会問題の解決】を大切に脱下請け部門の
確立を急ぎたい。
待ちのビジネスモデルの限界をヒシヒシと感じ、【世の中に打って出れる=リスクを覚悟で
挑戦を積み重ねられる企業】をめざしていきたい。
株式会社 白川製作所
2009年9月18日金曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿